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ドミノ
キーラ・ナイトレイ。
多くの映画ファンと同じように、ぼくが彼女を初めて知ったのは『スターウォーズ1』だ。アミダラ王女(ナタリー・ポートマン)の影武者の侍女として死んでいく、出演シーンは一瞬だが、鮮烈な花のような印象を残した。
その後プレイした、スターウォーズのトレーディングカードゲームでも、彼女はやはり献身的なキャラクターとして、ポートレイト化されていたのである。
そんな彼女が、剣戟アクションで再び花を咲かせようとは、誰が予想しただろう?
『パイレーツ・オブ・カリビアン』では、ややぎこちない戦う姫君であったのに、『キング・アーサー』での迷彩弓兵としての妖艶かつ獰猛なグィネヴィア女王を経て、今回ショットガンとキれる色気を武器にした賞金稼ぎドミノ・ハーヴェイに大躍進。彼女はまたひとつ脱皮して、危険で艶やかな蝶となった。
作品だが、実在の人物をモデルにしただけあって、前編に渡って熱い魂と、悲劇の痛烈な痛さとでもいうべきものがみなぎっていた。じつに、パッショネイト。
脇を固める俳優陣も、当たり役にして豪華。 『シンシティ』での役者対決(神父vs心優しき怪物マーヴ)が、この映画でも見られるとは思わず(TVプロデューサーvs賞金稼ぎのリーダー)、うれしい驚き。 ミッキー・ロークの自然に野生の魅力が引き出されていたのは言うまでもなく、クリストファー・ウォーケンは、本当に素晴らしい役者となった。もう一度彼を主役で、誰か映画をとるべきだ。若い頃のB級アクション映画だけでは、もったいない。 FBI役のルーシー・リュウも『キル・ビル』以来だが、演技が取り調べ室だけという制約にも関わらず、実に多彩な顔を見せる。鉛筆削りの妙技が冴え渡る(まあ観てください)。
監督は『スパイゲーム』のトニー・スコット。確かに、フラッシュバックを多用した画像は、クールで陰謀チックな『スパイゲーム』を彷彿とさせる。『ドミノ』は、その精神的な継承作として見ることができる。より若返って、銃撃アクションが重要になってはいるが。
脚本は、実験的名作『ドニー・ダーコ』で、思春期の不条理な心理を見事映像化したリチャード・ケリー。今回も複雑なプロットを、きわめてわかりやすく提供している。
こんなに、ぼくな好きな要素がつまっているのだから、何も言うことがない。笑って、泣ける映画。そして見終わった後に何かが残る。そういう感じです。
No.13 投稿者:たけるべ 2005/10/23(日) 20:02 青森県
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